肩甲骨の不安定さが原因?「猫背」と勘違いされやすい姿勢
「猫背なんです…」と相談されて姿勢を見てみると、実は背骨はまっすぐで、理想的なS字カーブこそないものの、背中が大きく丸まってはいない。
それなのに、肩甲骨が不安定なせいで、姿勢が悪く見えてしまうタイプは意外と多いです。
このタイプは、肩甲骨が外側に広がったり(外転)、持ち上がったり(挙上)した状態がクセになっています。横から見ると肩が前方に出て、背中全体が丸まったように見えるため、猫背と勘違いしやすいのです。
なぜ肩甲骨が不安定になるのか?
肩甲骨は、肋骨の上を滑るように動く骨で、首や背中、胸の筋肉と連動しています。
デスクワークやスマホ使用で腕が前に出る時間が長いと、肩甲骨は自然と外転・挙上しやすくなります。
この状態が続くと、肩甲骨を安定させる筋肉(僧帽筋下部、前鋸筋、菱形筋など)が働きにくくなり、姿勢が崩れます。
指導現場でよくある「代償動作」
私のレッスンでもよくあるのが、YouTubeやSNSで人気の「Cat & Cow(キャット・アンド・カウ)」などを見て練習している方。
見た目では背骨がしっかり動いているように見えても、実は背骨がほとんど動かず、肩甲骨の外転や挙上で「丸まった感」を出しているケースが非常に多いです。
さらに多いのは、胸椎の下部だけが過剰に丸まり、胸椎上部が動かないパターン。
この場合も、肩甲骨が動きを代償してしまい、本来必要な背骨全体の柔軟性が養われません。
セルフチェック方法
ご自身の動きを確認するために、横から鏡を見るか、スマホで横から動画を撮影してみましょう。
- 正しい動き:背中全体が均等に丸くなり、均等に反れる
- 間違った動き:背中の真ん中(胸椎下部)だけが異常に丸くなる、または肩甲骨だけが動いている
このセルフチェックで、自分の代償動作に気づくことができます。
改善のためのアプローチ
胸椎の柔軟性を取り戻す
肩甲骨不安定タイプは、背骨そのものの可動域が狭くなっていることが多いです。
まずは胸を開く方向(伸展)、横に倒す(側屈)、ひねる(回旋)といった胸椎の動きを取り戻すことが重要です。
おすすめエクササイズ
- フォームローラーを使った胸椎伸展ストレッチ
- 四つ這いでの胸椎回旋ストレッチ
肩甲骨を安定させる筋肉を鍛える
背骨の動きを改善したら、次は肩甲骨の安定性を高めます。
特に僧帽筋下部や前鋸筋を意識したトレーニングがおすすめです。
おすすめエクササイズ
- 壁スクイーズ(壁に背中をつけ、肩甲骨を下げる)
- エルボープレス(肘を壁に押しつけ、肩甲骨を下げて内側に寄せる)
やってはいけないこと
柔軟性がないまま、ロールアップ系の腹筋運動や背筋優位のトレーニングを繰り返すと、肩甲骨の不安定さがさらに助長される場合があります。
改善の順序としては、柔軟性 → 安定性 → 筋力の順が理想です。
まとめ
肩甲骨が不安定なタイプは、一見すると猫背のように見えますが、原因は背骨ではなく肩甲骨のポジションにあります。
このタイプを改善するには、胸椎の柔軟性を高め、肩甲骨を安定させる筋肉を働かせることが重要です。
「猫背改善」だと思ってエクササイズをしても効果が出ない場合、もしかしたら原因は肩甲骨にあるかもしれません。
一度セルフチェックをして、自分のタイプに合った改善法を取り入れてみましょう。
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